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あるということがわかります。
もし学童検尿で尿に糖が出ていたら、まず血糖値を調べる。血糖とその血糖のマーカーであるヘモグロビンAlc(HbAlc)などを調べる。それが高ければもうすでに糖尿病なのですが、高かった場合、あるいは高くなくても抗GAD抗体検査をしてみる。これが陽性であれば?型の糖尿病の確定診断ができたといってもいいくらいです。その時点で糖負荷試験をしてみる。経静脈的に糖負荷試験をやるところは少ないと思いますが、インスリン分泌度がどの程度の障害を受けているのか、20%くらいなのか,40%にきているのか、あるいは60%なのかということを見る上では静脈内糖負荷試験が有用です。あるいはグルカゴンを負荷する方法が有用です。そういう検査をすると膵臓の壊れ具合がわかる。
GADが陽性になっていて、膵臓の壊れ具合がかなり進んでいるということになれば、?型糖尿病はもうすでに軽症糖尿病期に至っているということがわかりますから、その時点で積極的に治療を始める。インスリンの少量を毎日の生活の中で用いて、食後も含めて少なくとも血糖値を正常の範囲にあるようにしますと、膵臓の自己免疫異常現象を押さえる働きに結びついていくということが動物実験でもヒトでもわかってきていますから、予知ならびに早期診断ができるとコントロールも容易になります。
いま小児糖尿病あるいは青年糖尿病の人たちが一日3回、4回の注射あるいはCSIIで非常にコントロールに苦労しているのは、そのB細胞のほとんどが破壊されてしまってから治療が始まっているからなのです。たとえ30%でも40%でも膵臓B細胞機能を残しておけば、治療は非常にしやすく、同じインスリン注射療法でも不安定になりにくいということがありますから、いかに早く見つけるかが治療の適正化に必要かということが、こういうメカニズムを知るとよく理解できるわけです。

 

 

 

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